Project
Story #02
市立中学校 増築設計
本プロジェクトは生徒数の増加に伴う市立中学校の増築設計で、指名プロポーザルにより特定されて受注しました。当社では現在設計中のものも含め、同市の小中学校のプロポーザル案件の実績は7件程あります。
本プロジェクト概要は6階建て2600㎡の教室棟の増築計画であり、増築に伴って一体化する約6500㎡の既存校舎の法適合チェック、改修設計や外構緑化、排水等の設計も実施しました。
Project Member
Maki
建築設計部 -2015年 入社
意匠設計担当
Takata
建築設計部 -2017年 入社
構造設計担当
Allan
KELPHILに2009年 入社
2019年来日-BIMモデル製作担当
Project Flow
ーー今回のプロジェクトにおける当社土木設計部の役割とフローを教えてください。
Takata:本プロジェクトは、指名型プロポーサルを経て受注したのですが、指名型プロポーザルは、公共事業の発注者(自治体等)が設計者を選定する方式のひとつです。発注者が過去の設計実績・信頼性などを基に設計事務所を数社指名し、指名された名各社からの提案書等を基に最適な設計事務所が特定されます。
Maki:上記フローを経て受注後、まず提示された基本計画の見直しを行いました。それに並行し、増築に伴う既存調査のために現地調査も実施しています。実施設計では、学校の設計経験豊かなベテランと若手、さらにマニラにある当社グループ会社KELPHILからのスタッフが協働して作業を行いました。
Allan:設計の過程ではBIMの導入も図り、既存校舎と新校舎の外観の調和や納まりについて3Dで検討しました。
Chapter 01
標準外の校舎形状による複雑な設計プロジェクト。意匠・構造・設備での設計連携やBIMを駆使し、様々な角度から検討を重ねる。
ーープロジェクトの特徴を教えてください。
Maki:今回は各棟の部分増築を主としているため、増築に伴う既存調査や、過去に遡っての法律の検討が重要となります。さらに排水・緑化・道路・警察消防等といった多くの課が関係しているので、事前協議や届出の各課協議のため、何度も現地調査を行い、多数の担当者と関わりながら仕事を進めています。
ーープロジェクトを進めてく際に、大変な点はありましたか?
Maki:市の学校設計では、通常各室プラン標準図があり、それを基に図面を作成しますが、今回の中学校は標準外の校舎形状・階数でしたので構造や設備との調整事項が多くとても苦労しました。工夫したのは、トイレの計画で、非常に狭いスペースの中に必要な便器数を確保しなければならず、検討案を複数作成し、市の担当者や学校関係者、構造・設備と打合せしながらプランを考えたことです。標準を当てはめるだけでなく、自分で考えたプランが採用されたのはとても嬉しかったです。
Takata:今回の建物は市の標準設計から外れるため、構造計算の手法も少し複雑になるというプロジェクトでした。構造的な安全性を確保するため、少しでも高さを抑えなければならず、1階床レベルの高さを低く設定する等の意匠調整を密に行いました。ほかにも耐震壁の厚さや屋外階段の計算モデル化などを試行錯誤して構造計算を満足させることに苦労しました。構造的要因による、意匠のプラン調整や納まりの確認など、さまざまな検討が必要でした。
Allan:It’s been about 4 years since I came to Japan. One of the challenging part for me is familiarizing myself to the Japan building standards. There are some building materials and laws in Japan that are new to me. I believe that using BIM tools and software requires a good understanding of the technical aspects of the construction process, such as design, engineering, materials, systems, and standards. The good thing about my experience here in Japan is that I’m always learning something from every project I’ve worked on. (私は来日して約4年が経ちますが、業務で難しい事の 1 つが日本の建築基準を知ることです。今まで知らなかった建材や建築法が日本にはあります。BIMやソフトウェアを使用するには、設計・エンジニアリング・材料といった、設計や建設プロセスの技術的な側面をよく理解しなくてはなりません。これまで日本で色々なプロジェクトに携わってきましたが、どの案件からも常に学ぶ事があるのが良いですね。)
Chapter 02
プロジェクトを通して得た、あらたな専門技術と自信
ーー業務を通して自分がどう成長したと感じましたか?
Takata:私自身は、今まで工場建屋の設計(鉄骨造)をメインに取り組んでいたので、鉄筋コンクリート造かつ官公庁のプロジェクトが初めての経験でした。そのため、構造計画の進め方や部材の納まり、意匠担当者との調整等、鉄骨造とは違う考え方を経験できました。上司のサポートもありながら、構造設計者としての知識・経験を深めることができたプロジェクトです。
Maki:市の担当者とのやりとりや各種協議、図面の作成などすべての業務を一貫して担当できたので、業務の流れやコミュニケーションの取り方、調整の仕方を身に付けることができました。学校案件を担当するのが今回で4校目でしたので、れまでの経験を活かし、工程が厳しい中でも効率よく業務を進め納期を守ることができました。
BIMでプロジェクトの設計条件を視覚化。意匠と構造のデータの統合・調整を経験したことで分析・設計スキルが向上
Allan:Allan:Using BIM on this particular project helped me to explore and visualize different design options, scenarios and solutions for this project, improving my creativity and analytical skills. We were able to integrate and coordinate data and information from different sources and disciplines (Architectural and Structural).( 今回BIMを使用したことで、プロジェクトの様々な設計オプション・シナリオ・ソリューションを模索して視覚化できるようになり、創造力と分析スキルが向上したと思います。 またBIMによって、意匠と構造分野のそれぞれ異なるソースデータの情報を統合し、調整することもできました。)
Chapter 03
「鉄骨造」であればどこにも負けない設計力が当社の強み。
他事務所ではなかなか経験できない大規模な工場建築設計も
ーー当社の建築設計の面白さはどんなところにあると思いますか?
Maki:他事務所ではなかなか経験できない小規模~大規模工場建築の設計ができます。工場建築のみならず、民間や官公庁の設計も行なっているため、工場設計で蓄積した知識やノウハウを活かすこともできます。学校の設計であれば校舎間を繋ぐ渡り廊下を鉄骨造で提案したり、吊構造で庇を設計したり、RC造では難しい無柱空間とすることで、生徒が通る歩行空間を広く確保するよう提案し採用いただいた事例もあります。「鉄骨造」であればどこにも負けない設計力が当社の強みであり、その知識を多方面で活用できるところが面白さでもあると思っています。
Takata:JFEスチール製鉄所内の大規模工場建屋をはじめ民間企業、官公庁様々なお客様が要望される建物を設計することができます。構造設計分野では、特に鉄骨造に関しての知識、ノウハウが蓄積されており高度な設計を経験することができます。(もちろんその他の構造種別も設計しますよ。)
他の設計事務所が断るような複雑な設計でも弊社では行える、痒い所に手が届く設計技術を経験できることが醍醐味だと思います。
Allan:As with any project, the process is what makes it interesting. It’s great to be able to integrate and coordinate both architectural and structural data/information into one model. And the most rewarding part is being able to create 3D models, drawings, and renderings that reflect the designer’s design vision and intent.(他のプロジェクトと同様に、設計プロセスがプロジェクトを面白くします。建築と構造の双方のデータを 1つのモデルに統合して調整できるのは素晴らしいことです。そして最もやりがいの感じる事は、意匠設計デザイナーのデザインビジョンと意図を反映した 3Dモデル・図面・レンダリングを作成できることです。)